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Li, Z.*; Piankova, D.*; Yang, Y.*; 熊谷 友多; Zschiesche, H.*; Jonsson, M.*; Tarakina, N. V.*; Soroka, I. L.*
Angewandte Chemie; International Edition, 61(6), p.e202112204_1 - e202112204_9, 2022/02
被引用回数:5 パーセンタイル:30.82(Chemistry, Multidisciplinary)Ce(III)水溶液の放射線誘起酸化反応によるCeO形成過程を研究した。Ce(III)はガンマ線照射による水の放射線分解で生じるOHラジカルによりCe(IV)に酸化され、水に対する溶解度が減少するため析出し、最終的にはCeOが生成する。この反応過程を透過型電子顕微鏡観察とX線結晶構造解析を用いて調べた。その結果、ガンマ線照射によって生成するCeOは、いくつかの中間的な状態を経てメソ結晶体を形成することを明らかにした。水溶液中でCe(III)が酸化されると、CeO析出の前駆体としてアモルファスなCe(IV)水酸化物が生成する。その後、Ce(IV)水酸化物中でCeOのナノ粒子が成長する。このCeOナノ粒子はアモルファス組織の中でゆっくりと配向性を有するようになり、ナノ粒子間の相互作用により規則的な構造を形成したメソ結晶体となる。さらに、このメソ結晶体を徐々に乾燥させることでメソ結晶体がさらに構造化した超結晶(supracrystal)となり、複雑な階層化アーキテクチャが形成されることを明らかにした。
神崎 訓枝
放射線生物研究, 56(3), p.295 - 307, 2021/09
低線量放射線の生体影響は、様々な要因が絡み合い複雑である。生命維持のためのその反応は単純ではない。そこで、動物実験を行って得られた分析結果を自己組織化マップ(Self-organizing maps: SOM)を用いて可視化し、これまでとは違った視点から低線量放射線の生体影響を評価した研究成果を報告する。例えば、低線量放射線の影響は明確なクラスタリングが不可能なデータであったが、SOMでの解析により複数の指標を総合的に評価し、直感的にデータの特徴を把握することが可能となった。本稿では、実例を挙げ、機械学習を用いて放射線生体影響のデータを可視化した成果とその有用性を議論する。
神崎 訓枝; 片岡 隆浩*; 小橋 佑介*; 柚木 勇人*; 石田 毅*; 迫田 晃弘; 石森 有; 山岡 聖典*
Radioisotopes, 67(2), p.43 - 57, 2018/02
これまで低線量放射線はマウス諸臓器中で抗酸化機能を亢進し、酸化ストレス関連疾患を抑制することを報告してきた。しかしながら、それらの結果は対象疾患も低線量放射線による処置の条件も様々で、有効性が立証された治療法は確立されていない。そこで、本研究では、それらの結果から低線量放射線の健康効果を明らかにすることを目的とし、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の新規適応症を探索した。データの解析には自己組織化マップ(SOM)を用い、不安定な抗酸化機能の変化を自己組織化マップの曖昧な表現で視覚的に直感的に捉えることにより、出力された疾患抑制効果と抗酸化機能亢進の関連性を検討した。その結果、ラドン療法の適応症である疼痛への効果には明らかな線量依存性があることがわかり、肝疾患や脳疾患においても、線量依存性はないもののその効果を期待できると予測できた。本研究は、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の応用に貢献できると考える。
木崎 寛之*; 和田 眞一*; 佐古 恵里香*; 隅井 良平*; 輪木 覚*; 漁 剛志*; 関谷 徹司*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 144-147, p.447 - 451, 2005/06
被引用回数:5 パーセンタイル:27.35(Spectroscopy)光刺激イオン脱離(PSD)法により放射光励起プロセスにおける内殻電子励起後の電子緩和,解離,脱離に至る機構がより詳細に調べられてきた。放射光のエネルギー可変性を使い内殻共鳴励起を引き起こすことにより特定の化学結合の切断を誘起できる可能性が示されて以来、放射光励起プロセスはさらに大きな興味がもたれてきた。本研究は放射光の励起エネルギー可変による選択性に加え、Au(111)表面上に制御して吸着された自己組織化(SAM)配向膜の結合軸にX線の偏光ベクトルを一致させることによりさらなる選択励起を目指した。ランダム配向であるPMMAポリマー薄膜に比較し、SAM膜は約4倍高い反応選択性を示した。実験結果は直接解離過程と2次電子による間接過程が関与している反応機構により考察された。
鈴土 知明
Proceedings of 6th International Conference on Complex Systems (CS02), p.77 - 81, 2002/09
第4世代炉などの革新的な原子炉において安全性に飛躍的な向上が求められているが、これまでの事故の経験から、自動運転が運転作業全体に占める割合いを大きくしヒューマンエラーの可能性を排除していくことが肝要である。このためには計測制御系が人間と同等以上に知的な活動をしていく必要がある。一方、複雑系研究はさまざまな要素が結合されることによって要素の和以上の性質が得られるシステムの研究である。よって、複雑系の理論を応用し、これまで独立に機能してきたさまざまな計測制御系をネットワーク結合させれば、その性能を強化することが可能であると期待できる。複雑系の知能化はその自己組織化によって達成されるが、自己組織化のパターンの多様性が大きいほど高度な知能化が可能である。本研究では、よって、自己組織化のパターンが多様化するメカニズムを明らかにするために、多様性の典型的な例である生態系の簡便なモデルをセルオートマトンを用いて作成しその性質を議論する。
榊 泰直
Proceedings of 27th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.85 - 87, 2002/08
ビーム品質を最高性能に維持しながら、加速器を長時間運転するために、「自己組織化マップ(SOM)」を用いたオンライン運転支援システムを提案する。このシステムを完成させるには、コミッショニング段階から、数多くの「運転時データ」を用意する必要があるが、視覚的に運転者が理解しやすいデータを表示してくれ、加速器で起こりえるトラブルを推測できるようになる大きなメリットがある。今回は、これまでに行っていたSOMを用いた、加速器でのパラメータの変動と外乱因子の相関関係解析法を説明し、SOMの有効性を示すとともに、将来有効となるであろうSOMを用いたオンライン運転支援システムの設計概念を報告する。
鈴土 知明
Complex Systems'98, p.364 - 375, 1998/00
原子炉出力の空間振動のようにミクロな要素が相互作用することによりマクロなパターンを形成する現象を理解することは容易ではない。たとえば、あるパターンを形成するミクロな相互作用を観察によって見つけることができても、そのパターンが形成されるため一般的な条件を求めることは困難である。セル・オートマトン(CA)は適用されるルールによって、様々なパターンを形成することが知られている。ある特定のパターンを形成する多数のルール群から共通する性質を導き出し、それを実際の現象に関連づけることができれば、現実の世界においてそのパターンが形成されるため一般的な条件を求めることができる。本報告では、そのような研究の第1段階として、結晶化を取り上げた。CAの結晶化から得られた一般的な性質は、相転移によって生じる現実の結晶化の性質と一致することが認められた。
渡辺 正; 蕪木 英雄
Physical Review E, 54(2), p.1504 - 1509, 1996/08
被引用回数:8 パーセンタイル:40.28(Physics, Fluids & Plasmas)2次元レイリーベナール系における巨視的な流れ場の熱伝導/対流遷移を分子動力学法によりシミュレートした。上下面の温度差が小さい場合に熱伝導状態が実現され、ここでは原子運動はランダムであり大規模な流れは発達しなかった。温度差が大きいと巨視的な対流渦が現われ原子の軌跡は渦にそったものとなった。原子のカオス運動の度合を示すリアプノフ指数は、熱伝導状態では平均温度と温度差とともに増加するのに対し、巨視的な自己組織化運動である対流状態では流速にも依存して増加することが明らかとなった。
河合 智賀; 前山 伸也; 井戸村 泰宏; 小川 雄一*
no journal, ,
準2次元乱流スペクトルにおけるエネルギー逆カスケードによる自己組織化現象は磁場閉じ込めプラズマ中での帯状流などの構造を形成する機構と考えられている。一方、第一原理モデルに基づくプラズマ乱流シミュレーションにおいてこれまで乱流スペクトルと自己組織化の関連は検討が進んでいなかった。本研究では、プラズマ乱流の流体近似であるHasegawa-Mima方程式から導かれる自己組織化による流れの構造形成とエネルギースペクトルの関連性を電子乱流のジャイロ運動論的Vlasovシミュレーションによって検証した。
河合 智賀; 井戸村 泰宏; 前山 伸也*; 小川 雄一*
no journal, ,
本研究では磁化プラズマ乱流における流れの構造形成と自己組織化の関連を検討するため、電子乱流のエネルギースペクトル構造をジャイロ運動論シミュレーションによって評価した。これにより、運動論的なプラズマ乱流においても準2次元系の自己組織化現象の特徴であるエネルギーの逆カスケード、および、プラズマの反磁性回転に起因するドリフト波の分散による長波長側での非等方的なエネルギースペクトル構造の形成が帯状流の形成に寄与すること、また、温度比や揺動振幅の大きさなどのパラメータによってドリフト波の線形分散が変化することで乱流の構造が大きく変化することを明らかにした。
神崎 訓枝
no journal, ,
機械学習の一種である自己組織化マップ(SOM)のアルゴリズムを説明し、機械学習の放射線影響評価への適用可能性と将来展望を述べる。SOMは機械学習に基づくクラスタリング手法であり、多次元データの持つ複雑な関係性を可視的に理解することを可能にする。本発表では、動物実験から得られたデータを解析した例、文献から低線量の放射線影響に関するデータを収集して解析した例などを紹介する。